腎移植後患者の病状および治療に関する観察研究

京都府立医科大学泌尿器科では、腎移植を受けられた患者さんを対象に病状および治療に関する臨床研究を実施しております。実施にあたり京都府立医科大学医学倫理審査委員会の審査を受け、研究機関の長より適切な研究であると承認されています。

研究の目的

腎移植は近年の免疫抑制剤、手術の方法が進歩してきたことによって、生存率および生着率は飛躍的に向上してきました。その結果、2000年以降は10年生存率が生体腎移植で92.2%、献腎移植で81.5%となっています。しかし免疫抑制薬が実際にどれだけ生存率の向上や生着率の向上に結びついているかは、主として海外から報告された研究結果を元にしており、日本人の腎移植患者さんにおける実態は明らかとなってきておりません。
本研究では、京都府立医科大学にて腎移植を受けられ、通院されている患者さんにおいて、お薬の内容や腎機能の推移などを過去にさかのぼって診療録から調べる観察研究を行い、その診療の実態などを明らかにすることで、より適切な腎移植患者さんへの診療をめざすことを目的としています。  

研究の方法

対象となる方および研究期間について

対象となる方は2008年1月1日から2031年3月31日までに腎移植を受けられた患者様です。研究期間は承認日から2033年3月31日です。

方法

この臨床研究は、腎移植を受けられた患者さんを対象に、日常診療で行われている検査や治療を基に、当院を受診された日から2033年3月31日までの診療録からデータを収集させていただく予定です。

研究に用いる試料・情報について

利用または提供を開始する予定日:2024年4月1日

診療録(カルテ)より以下の情報を取得します。

  1. 患者さんの基本情報(レシピエント):
    性別、年齢、身長、体重、血液型、ABO不適合、HLAミスマッチ、術前既存抗体、透析期間、原疾患、術前合併症。
  2. 患者さんの基本情報(ドナー):
    性別、年齢、身長、体重、血液型、ドナー種類、腎採取術法、温阻血時間、総阻血時間、献腎移植の場合は臓器移植ネットワークの提供する全情報。
  3. 薬剤情報:
    薬剤名、投与量、薬物血中濃度結果。
  4. 検査項目:
    血清クレアチニン、血糖値、赤沈、白血球、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、MCV、MCH、MCHC、血小板、総蛋白、蛋白分画、尿素窒素、クレアチニン、eGFR、尿酸、AST、ALT、AlP、LDH、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、CRP、尿蛋白、尿糖、尿潜血、尿中β-2MG、尿中NAG、DSA(ドナー特異的抗HLA抗体)、EBウイルスDNA量、BKウイルスDNA量などを日常外来診療時のデータを使用。
  5. イベント発生状況:
    拒絶反応とその治療薬(薬剤名・量)、血液浄化療法、移植腎廃絶、治療変化、感染症、悪性腫瘍の発生、その他の有害事象。

 

個人情報の取扱いについて

患者さんのカルテ情報をこの研究に使用する際は、氏名、生年月日などの患者さんを直ちに特定できる情報は削除し研究用の番号を付けて取り扱います。患者さんと研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、インターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、入室が管理されており、第三者が立ち入ることができません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、患者さんが特定できる情報を使用することはありません。
なお、この研究で得られた情報は研究責任者(京都府立医科大学 泌尿器外科学教室 奥見雅由)の責任の下、厳重な管理を行い、患者さんの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。

試料・情報の保存及び二次利用について

カルテから抽出した情報は原則としてこの研究のために使用し結果を発表したあとは、京都府立医科大学泌尿器科において准教授 奥見雅由の下、研究終了報告日から5年、または研究結果の最終公表日から3年または論文等の発表から10年間、いずれかの遅い日まで保存させていただいた後、研究用の番号等を削除し、廃棄します。ただし保存期間内に新たな研究を行う際には、あらためてその研究計画を医学倫理審査委員会で審査し承認を得ます。

費用負担について

この臨床研究は、一般診療の範囲内のため、一般診療と同様に研究期間中の薬剤費を含む診療費は、全て患者さんの保険及び自己負担でお支払いいただきます。また、この臨床研究へ参加することによる謝礼等はございません。

利益相反について

  1. 利益相反の説明と法人規程等による管理
    利益相反とは、臨床研究の実施に際して外部との経済的な利害関係等によって、研究の実施に必要とされる公正かつ適正な判断がそこなわれる、又は、そこなわれるのではないかと第三者から懸念されることを指します。
  2. 研究資金について
    本研究は運営交付金(教室費)を用いて実施します。
  3. 利益相反について
    本研究の実施にあたり、開示すべき利益相反はありません。

 

研究組織(情報を利用する者の範囲)

研究責任者:

京都府立医科大学 医学研究科 泌尿器外科学 准教授 奥見 雅由

研究担当者:

京都府立医科大学 医学研究科 腎臓内科   講師  玉垣 圭一
京都府立医科大学 医学研究科 腎臓内科   助教  小牧 和美
京都府立医科大学 医学研究科 泌尿器外科学 助教  宮下 雅亜
京都府立医科大学 医学研究科 泌尿器外科学 助教  井上 裕太

お問い合わせ先

患者さんのご希望があれば参加してくださった方々の個人情報の保護や、研究の独創性の確保に支障が生じない範囲内で、研究計画及び実施方法についての資料を入手又は閲覧することができますので、希望される場合はお申し出下さい。
また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、2033年3月31日までに下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

受付時間:平日9時から17時

京都府立医科大学
職・氏名 准教授・奥見雅由    電話:075-251-5595